
2016年4月16日1時25分5.4秒
熊本地震・本震の発生

熊本県熊本地方を震源とする最大震度7、マグニチュード7.3、最大長周期地震動階級4の極めて大きな地震が発生しました。
この地震では、国内観測史上最大の計測震度である6.78を益城町で観測しています。
さらに、マグニチュード3.5以上の一連の地震回数は内陸型地震では1995年の阪神・淡路大震災時以降で最多となりました。九州地方で震度7を観測したのは、本震をもって2回目となりました。
さらに、一連の地震活動で震度7を2回観測したのはこれが初であり、一つの地震において2か所以上の観測点で震度7を観測したのはこれが初めての事例となりました(2回目は令和6年能登半島地震)。
M7.3は、1995年の兵庫県南部地震と同程度の地震であり、この大きさの地震が熊本県御船町の直下で発生したことより、大きな揺れと大きな被害を引き起こすこととなりました。
長周期地震動を観測

また、この地震により、長周期地震動階級4を熊本県阿蘇・熊本で、3を福岡県筑後、大分県中部・西部で観測しました。
長周期地震動階級4は、令和6年能登半島地震でも観測された、立っていることができず、這わなければ動くことができない程度のかなり長く激しい揺れで、東北地方太平洋沖地震でも同程度の地震動が発生したと推定されています。
さらに、千葉県北西部など、関東でも長周期地震動階級2を観測しました。
“本震”だと思われていた「熊本地震・前震」

2016年4月14日 21時26分34.4秒、熊本県熊本地方を震源とする最大震度7、マグニチュード6.5、長周期地震動階級3の大きな地震が発生しました。この地震は当初本震と考えられていましたが、約28時間後の4月16日1時25分ごろに本震が発生し、14日に発生したこの地震が前震であったと発表されました。
当初の発表から訂正され、本震と余震が入れ替わる事態は海溝型地震である2011年の東北地方太平洋沖地震においても発生しています。
しかし、熊本地震のような内陸型地震でマグニチュード6.5以上の地震の後にさらに大きな地震が発生したことは、地震の観測が日本において開始された1885年以降で初めての事例でした。
さらに本震以降、熊本県熊本地方の北東側に位置する阿蘇地方から大分県西部にかけての地域、大分県中部地域においても地震が相次ぎ、揺れによる被害や地震は熊本県だけでなく、大分県にも及びました。
この地震はこれまでの想定を大きく覆すものとなりました。
震度7が一連の地震活動で2回 過去にない異例事態
最大震度7を観測する大きい地震が48時間の間に2回も発生し、気象庁は「過去の経験則が当てはまらない」ことより、余震の発生確率について発表することを取りやめたほか、大きな地震が発生した際に、「過去の事例では、大地震発生後に同程度の地震が発生した割合は1~2割あることから、揺れの強かった地域では、地震発生から1週間程度、同程度の地震に注意」といった情報を発表するようになりました。
地震による被害
これらの地震によって276人が亡くなり、被害総額は最大で4.6兆円に及ぶと言われています。例として、熊本城の石垣の倒壊・大小天守の屋根瓦の崩落や、回送中の新幹線の脱線などの被害などが挙げられます。避難所での感染症の蔓延などの被害もあり、二次災害が大きな課題点となりました。
“新しい被害”
そして、SNSやインターネットの普及により、家族間・親戚間の連絡や情報収集が容易になった反面、これまで少なかった(あくまで比較して)「災害時のデマ」が大きく取り上げられることとなりました。
「動物園のライオンが脱走した」「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」といった、関東大震災のデマの模倣と思われるデマがSNS上で大きく拡散され、実際に虚偽の内容文をTwitter(現X)へ投稿した男性は偽計業務妨害の疑いで逮捕されました。
さらに、火事場泥棒や支援を騙った詐欺、悪質商法などが多発しました。
おわりに
この地震によって亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
私たちはこの地震を忘れてはいけません。
今後30年以内に首都直下地震が発生する確率は70%~80%と言われています。
過去に内陸型の地震で何が発生したのか、理解する必要があります。
日頃から情報リテラシーを身につけ、一次情報を活用すること、できる限り落ち着いて行動することも、これからの社会では必要になってきます。
熊本地震だけではありません。
これまでの様々な災害の教訓を生かし、対策を講じなければなりません。
2025.4.16
EWRS総合情報共有局(EGIC)一同